内視鏡手術動画像からの奥行抽出情報の仮想空間における評価

Abstract

近年、鼻腔・副鼻腔・関節・脳神経などの部位における検査や手術に、内視鏡が広く使用されている。内視鏡を用いた手術の利点として、患者の皮膚を大きく切開することなく体深部の視野が確保できることから、患者に負担をかけることなく、短い時間で施術できるという点が挙げられる。しかし、内視鏡で撮影された2次元画像は視野が狭く、術者が奥行情報を得ることが難しいという欠点がある。そのため、手術器具を患者の重要組織と接触させ、重大な事故を引き起こす危険性があり、術者には高度な技術と経験が要求される。そこで本研究では、内視鏡を用いた手術における危険を低減させる手段の一つとして、内視鏡によって撮影された複数枚の2次元画像から患者の体深部の奥行情報を抽出し、術者に提示する方法の開発が行われてきた。
 先行研究では、実際の内視鏡画像を入力画像として3次元形状復元を行い、精度の評価をしていた。だが、被写体の真の形状が不明であるため、3次元形状復元の結果の精度は、人間が2次元画像を見て感じる奥行き感と一致しているか視認するしかなかった。
 そのため本研究は、仮想空間内に形状が既知である鼻腔モデルを作成し、これを仮想上のレンズを通して生成した画像を用いたシステムの評価を行った。